「ごめんね、弁償するわ……」

「いいよ。ふたりにあげる……」

気を遣わせまいとしているが、鈴木くんは落胆の表情を浮かべていた。

「鈴木―!お前、セカイジャーで誰が一番かっこいいと思う?」

当の本人達は無邪気にムック本を広げるだけで、鈴木くんの落胆には気づかない。

「もちろん、セカイレッドだよな!」

「違う!セカイブルーだもん!」

「ふたりとも、その前に鈴木くんにお礼を言いなさい」

ワーワー言いながら逃げ回る双子を捕まえようとするとポツリと呟く声が聞こえた。

「…セカイブラック」

(え?)

「一番はセカイブラックだよ」

念を押すようにもう一度言うと、大人しくなった双子と一緒にムック本のページをめくりだした。

(鈴木くんって…)

やっぱりなんだかよく分からない。