「鈴木くんは今の生活に満足しているの?」

実家に戻れば輝かしい将来が待っているというのに、このまま人生を終える気なのだろうか。

たとえ勘当は解けなくても小林さんの口振りからすると、支持してくれる人はいるようだからいずれは政治家に望まれることになる。

栄光と引き換えに今の生活を差し出すことを本当に考えなかったのか。

鈴木くんは躊躇いもなく言った。

「当たり前だよ。俺は好きだから、今の生活」

……その笑顔があまりにも眩しくて。

(もう、卑怯よ……)

私はドキドキと高鳴る胸をこっそりと押さえたのだった。