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玄関扉を開けるとすっかり憔悴している鈴木くんが現れた。
「本を取りに来ました……」
「どうぞ上がって」
「お邪魔します」
鈴木くんは昨夜と同じ分厚いメガネによれよれのTシャツを着ていた。
昼間とギャップがありすぎて、同一人物なのかと疑わしい気持ちになる。
昨日からどうも鈴木くんに振り回されてばかりだ。
リビングに足を踏み入れた鈴木くんの足が止まった。
「あ」
「陽、恵!あなた達何しているの!」
私は思わず悲鳴を上げた。
テーブルの上に置いておいたはずのムック本のパッケージは無残に剥がされ、双子によって堂々と開封されていたのだ。
これには鈴木くんも言葉を失っていた。