愛を欲しがる優しい獣


「……あなたも貴士さん同様、一筋縄ではいかないようですね」

(褒められているのかしら?)

鈴木くんと一緒くたにするくらいだから、ここは褒め言葉として受け取っておこう。

「確かにあなたは貴士さんにとって特別な方のようです。ご実家にいらっしゃった頃はクスリともお笑いになりませんでしたから」

小林さんは寂しそうに笑った。

「だからこそあなたの前では決して非情な一面を見せないのでしょうね」

彼女の言葉を聞いて、この場にいない鈴木くんに思いを馳せる。

……それは逆を言ってしまえば、実家では非情な一面を見せざるを得なかったということだった。