愛を欲しがる優しい獣


この辺りで違和感を覚える。

……どうもおかしい。

小林さんの言う鈴木くんの印象が、私の知っている鈴木くんと特徴が一致しないのだ。

確かに、目当てのカードが出るまでスナック菓子を買い占める姿は“目的のためなら手段を選ばない”と言えなくもないが。

着古したジーンズもTシャツも捨てられない彼に、不要なものを切り捨てる冷酷さなんてあったのだろうか。

つい、くすくすと笑みがもれる。

「ごめんなさい。何だかおかしくって……」

私は笑いながら小林さんに弁解した。

彼女は突如として笑い出した、私に目を丸くしていた。

真面目な話をしていたはずなのに、いきなり笑い出されたらさぞ驚くだろう。