「ごめんね、遅くなって」

待ち合わせの場所に向かうと鈴木くんは既に到着していて、私の姿を見つけると小さく手を振った。

「時間ぴったりだよ」

腕時計を指差して微笑む鈴木くんの格好を見て驚く。

今日の鈴木くんはいつものように首元がよれているTシャツも、ボロボロのジーンズも履いていなかった。

黒のチノパンにデニムシャツとカットソーを合わせたコーディネートは、彼の整った顔立ちを良く引き立てていた。

瓶底眼鏡は封印され会社にいる時と同じようにコンタクトをつけているし、髪の毛もワックスで毛先を遊ばせる心の余裕が見え隠れしている。