「やだ……!」 佐藤さんも己の惨状にようやく気が付いたようで、恥ずかしがりながらも俺のシャツで身をくるんだ。 雨が止むのを待つにしろ、帰るにしろ、早急に服を乾かす必要があった。 このままでは帰る前に風邪をひいてしまうし、電車にも乗れない。 「雨宿りするのに最適な場所があるんだけど」 俺は仕方なく切り出した。出来ることなら使いたくないが、背に腹は代えられない。 「あそこ」 俺が指さしたのはギラギラとした看板が光っているラブホテルだった。