愛を欲しがる優しい獣


「何だか楽しいね」

「そうだね」

(俺は佐藤さんと一緒ならどこでもよかったんだけどな……)

内心ではそう思っていても、これだけ喜んでもらえると男心にも嬉しい。

「イルカとかアシカのショーもあるみたいだよ」

「イルカ?見たい!」

佐藤さんは大喜びで、順路に向かって走り出す。

(たまにはこういうのも悪くないな)

子供の頃に戻ったような気持ちになって、俺も一緒になって走り出した。