「私……きっと鈴木くんが私を想ってくれているように、鈴木くんを好きになれないかもしれないわ……」

「いいよ、それでも」

「もっと傷つけてしまうかもしれない」

「大丈夫、傷ついたりしないよ」

更に反論を続けようとすると、むぎゅっと頭を胸に押し当てられる。

「もういいよ。一番辛かったのは佐藤さんだろう」

一際強く抱きしめられると、何だかホッとした。私は目を瞑って鈴木くんに身を委ねた。

(優しい人……)

慰められて初めて、本当は私自身が心無い言葉に傷ついていたことを知った。

この人を好きになりたいと心から思う。

もし、新しい恋をするならば相手は他の誰でもない。

……この人に違いない。