愛を欲しがる優しい獣


「俺は君を責めたりしない。約束する」

(本当に……?)

私は顔を上げて、鈴木くんの表情を窺った。

鈴木くんはとても愛おしいものを見るような温かい目をしていた。

ドクンと心臓が大きな音を立てた。

鈴木くんの指先が、頬に触れる。

唇に触れる。

目尻に溜まった涙を拭っていき。

額の髪を撫でた。

……彼に翻弄される。心も身体も。

「俺に、もう一度だけ恋してみませんか」

鈴木くんの囁きを聞いて。

……信じられない気持ちだった。

鈴木くんはこんなにずるい私を受け入れてくれようとしている。

全てを知ったうえでなお、好いていてくれるのだ。