「中川さん!」
はあはあ、と息を切らせてこちらの方に
走り寄ってくれた中川さん
「どうしたんですか?
そんなに慌てて」
「詩織様、こちらに着く時はご連絡して下さい
たまたま、私が窓の方を見ていたからよかったものの…」
「え、大丈夫ですよ
そんなに気を遣っていただかなくても」
「いえ、私が出迎えたいだけですので…
さあ、要様がお待ちです
大広間に向かいましょう」
そう言って、エスコートしてくれる中川さん
…待ってなんかないと思うんだけどなぁ
大広間の扉の前に立って
「要様、詩織様が御帰りになられました」
そう言って、扉を開けた
目の前には、私の知らない要さんがいた