「詩織…」


私の手を掴もうとしたけど、その前に私が手を引いた


「…触らないで」


あなたになんか触られたくない


人を傷つけても平気な人なんか、大嫌い


要さんより先に車に乗った

もちろん、できるだけ端に行き
要さんとの距離をとった


本当は一緒に帰りたくなんかないけど、ここから豪邸まで私は道を知らない

だから、車に乗るしかなかったのだ


すると、要さんのとこから
バイブ音が聞こえてきた


「…はい」


『もしもし〜、私よ私!』


電話越しでも聞こえるくらい、大きい声でこちらからでも聞こえる


「何の用だ」


『あのね、祐樹から聞いたんだけど
歓迎パーティー来るんでしょお?
珍しいな、って思って〜』