「詩織様の気分が、だいぶ前から優れていないと聞いていたので
少し散歩に出て来ます」
「何故俺に言わなかった」
「詩織様が言って欲しくないと」
暫く沈黙が続く
「ではこれで、私と詩織様は失礼させていただきます」
中川さんが私の背中を優しく押した
「詩織」
要さんに呼ばれてる
振り返ってはだめ
「詩織」
きっと、振り返ったらだめになる
「詩織!」
そう言って、私の腕を引っ張り
身体ごと自分の方に向けさせる
「明日の夜までには帰って来い
いいな?」
そんな約束できないよ
今日で私はここを出るんだから
「せ…ん」
「何だ」
「そんな、…約束…できませ…」
ああ、こんな姿見せたくなかったのに
最後なんだから、泣かせないで
