そう思って最寄りの電停に向かった。

すると、後ろからふと名前を呼ばれた気がした。

怖くなって後ろを振り向くと、人が走ってくる足音が聞こえた。

「…………だれ」

暗くて誰だか全然わかんない……。

とりあえず逃げようと走り出そうとしたら、腕を掴まれた。

「きゃっ!!!」

「明日香ちゃんっ、俺だって」

驚いて振り向くと、そこには息を切らした神楽さんがいた。

「か、神楽さんっ!?」

「っ!!しっ!」

神楽さんは、あたしの頬っぺたをムニッと
して口を塞いだ。

「俺の立場を自覚しろって言ったのは何処の誰け?笑」

「いや、だって……。
スミマセン…。」

「まぁ、幸い人がいなくて良かったけど。
あ、てか、明日香ちゃん、送るよ。」

「え?送る?どこにですか?」

「どこにって…笑
明日香ちゃん家にだよ。」

えーーーー!!??

あたしん家?

「だ!大丈夫ですよ!あ、あたし一人で帰れますから」

「いやいやいや。さすがに女を一人で帰らせる訳にはいかないだろ?だから、送ってけって林に頼まれた。」

あ……。

お姉ちゃんに頼まれたのね…。

なんか、変な期待してる自分がいた。

うわ、自分気持ち悪っ。

「明日早いんですよね?神楽さんこそ大丈夫なんですか?」

「あー、あれ嘘。」

「嘘!?」

「うん。仕事はあるけど昼からだし。」

なんで嘘なんかつく必要があったのか…。

よく分からん……。

「で、でも、お仕事あるのには変わりないからゆっくりした方がいいんじゃないですか?」

あたしがそう言うと、神楽さんは急に不機嫌になった。

「……明日香ちゃんは、そんなに俺といるのが嫌なのか?」

「……えっ?」

…………神楽さん。

あなた、ものすごい勘違いしてますよ。

どうやら、あたしが気を遣って言ったつもりが、逆に神楽さんを怒らせてしまったみたいですね……。

「ごめんなさい。そうゆうつもりで言ったんじゃなくて……。あたしといて、撮られたりしたら大変なので……。」

「なぁーんだ、そんなこと。気にしなくていいんだって。俺のご厚意と思って?笑」