「あれー?なんで、お前がいんの?笑」

という神楽さんの一言で本日2度目の失神をしかけた。

なんと戻った先には、大阪を拠点に活動するこれまた国民的アイドルFunnyBoysの澤城さんがいたのだ。

「なんか、呼ばれてん!」

「えでも、俺ら高校の同級なんだけど、違うよね?」

「ちゃうよ。ちゃうけど俺呼ばれてん!」

なんというコラボ…。

あたしはこの状況にただ、突っ立ってることしか出来なかった。

「和こそ隣の子誰や?彼女?」

「そうであったら非常に嬉しいんですけどねぇ笑林の妹だって」

な?とあたしに話を振る神楽さん。

「……ぁ、林、明日香です…。」

どうしようか迷ったけど、一応自己紹介した。

「明日香ちゃんて、ゆうんやー。年は?」

「おんまえ…。女性に年齢聞くのは失礼だろ」

と、神楽さんは澤城さんに注意した。

……女性て……。

こんなあたしを女として見てくれてるの?

「あ!ごめん!気ぃ悪くしたなら謝る!」

「あ、大丈夫ですよ!気になさらないでください。
こないだ、高3になったばかりです。」

『高3!?』

「え……?」

2人の驚きように逆に驚いた。

「ビジュアルが大人すぎて、てっきり同年代かと……」

「お酒飲めるの??」

「飲めません。」

「なんで来たん?笑」

あー……。

そこ聞くかあ…。

変な言い訳は出来ないしな。

「…姉に無理矢理……」

あたしがそう答えると2人は、あぁと笑い出した。

「アイツ、妹にまで強引な女なんだな」

と、神楽さんが言うとタイミングが良いのか悪いのかお姉ちゃんが戻ってきた。

「誰が強引ですって、たらしの神楽くん?」

「あのなぁ言っとくけど俺、好きになったら一途だし。たらしはコイツだろ?」

「はあ!?なんで俺なんだよ笑」

その場に笑いが渦巻く。

お姉ちゃんたちは楽しそうに話してて…。

なんか、この雰囲気が心地よくて、でも。

あたしのいる場所じゃないなぁって、なんとなく思った。

「まあまあ、林も揃ったことだし乾杯でもしますか!」

「そうだな」

誰かのそんな会話からみんなに飲み物が渡った。

「じゃあ、久々の再会に乾杯!」

『かんぱーい!』

あたしはもちろんお酒が飲めないので、ジンジャーエール。

そして、みんなそれぞれに食べ物をつつき始め楽しそうな会話があちらこちらで、盛り上がる。

「そーいやさ、明日香ちゃんは彼氏とかいんの?」

さりげなく澤城さんがそう聞いてきた。

「…………いませんよ」

あたしは少しムッとして言った。

すると、神楽さんがあたしとの距離を詰めた。

「……じゃあ、イロイロとまだなんだ?」

「…ッ……///」

この至近距離でそんなこと言うなんて…………罪だ。

「お前、その言い方は変態だろ笑」

「変態は止めろよ変態は。せめて、エロいにしてよ」

「あ、エロいのは認めるのね」

お姉ちゃんが言うと神楽さんは、ニコーっとして頷いた。

「まあ、明日香にはまだ手ぇ出さないでやってね」

「くぅー!!耐えられっかな俺!」

「明日香ちゃん、可愛すぎんだもんな~」

と、男性陣が口々に言うのを聞いて小さくなるあたしをお姉ちゃんは、面白そうに笑ってみてるだけ。

助けてくれないのかい!

心のなかで軽くお姉ちゃんを軽蔑していると。

「大丈夫。危なくなったら俺が助ける。心配すんな」

顔を上げると、神楽さんの優しい瞳に捕まった。

あたしが目を逸らせないでいると、神楽さんはニッコリと微笑んだ。

……不覚にも胸が跳ねた。

「なっ、和もそう思うだろ?」

「あぁそうだな。俺も酔ったらやばいかもな」

「だろう!?やっぱエロ和はちげぇな!」

そうおだてられるとさっきとは違う意地悪な笑顔を浮かべ、どや顔をする神楽さん。

……やっぱりさっきの言葉、信じられないな。

神楽さんは、冗談でもそんなことしれっと
言えちゃうんだよね。

あたしの勝手なイメージだけどさ。

アイドルのくせに、女性関係が派手なことで有名な神楽さんなのに、世の女性たちが見捨てない訳がわかったよ。

神楽さんのこと何も知らないあたしが言うことでもないけどさ…。

…ちょっとあたし、なんかおかしくなったかな…………。

あたしは、よく分からない感情を吹き飛ばすため、お姉ちゃんに切り分けてもらったお肉を頬張った。