ある寂れた孤児院で、私は育てられていた。
べつに欲も何もなかった私は、クリスマスの話題はてきとうに話す。

友達皆は、サンタクロースを本気で信じているみたい。

馬鹿みたい。馬鹿みたい。

知らないの?知らないの?

サンタさんなんて居ないんだよ。院のおばさんが、私にこっそり教えた秘密。

「サンタさんなんて居ないんだよ」

おばさんは、私だけに教えてあげる、そう言って教えてくれた秘密。
だから、今こうして信じてる馬鹿なこの子達を、あぁ、カワイソウに。って、心の中で哀れんであげるの。

そう、楽しげにサンタさんにお願いしても、願いなんてどこにも届かないのよ。
クリスマスは神様がぐっすりと眠る日。

どんな願いも届きやしない。届きやしない。