「何の為って、関東行くためだろ?フツーに」



「そうだけど…!そうじゃねーんだよっ!!!」



うちのバスケ部は全国大会常連の強豪校。

で、こんな女々しい五十嵐は、実は一年ながらにそこのエースという凄い奴。




「あぁ、やる気なくした…」



試合が始まる前から、白い灰になっているエース・五十嵐。



「おまえな…そんなこと言ってると、バスケ部の奴らに殺されるぞ」



「だって…仕方ねぇだろぉ~」




…まったく、こいつの長澤大好き病は重症だ。




何でこんなに好きなのに、付き合うまでのあと一歩が踏み出せないんだか。





「五十嵐…」



仕方ねーから励ましてやるか!と口を開いた時





「五十嵐!」




バッと物凄い勢いで顔をあげた五十嵐。





そしてバツの悪そうに視線をそらして、椅子にふんぞり返る。





「…今さら何の用だよ、ブー子」





ブー子というのは、五十嵐だけが呼ぶ長澤のあだ名。


ちなみに入学したばかりの頃、俺がふざけて呼んだら本気で殺されそうになった。もちろん五十嵐に。