苦笑いする俺に、室谷がカバンを持って席を立つ。
「あんまり回り道ばっかしてると、出遅れんぞ?」
パシッ…
そして教室の入り口にあった鍵を、俺に投げてよこした。
「…出遅れんなよ、五十嵐。
んじゃ、鍵ヨロシク~」
ヒラヒラと手を振り、颯爽と教室を出て行く室谷――
「って今日の日直お前だろ~が、室谷っ!」
教室の施錠は日直の仕事だ。
俺の声だけが、誰もいなくなった教室に虚しく響く。
…はぁ、まったく。ちゃっかりしてる。
(…出遅れるな、か……)
…そうだよな。
俺以外にも、アイツを見てる奴がいる。
――負けられねぇ。
この試合だけは!



