「…だからか」



亮と二人で体育館に戻る途中



亮がニヤニヤしながらそう言った。




「なんだよ」



「今日のお前、最悪。

一人でガンガン突っ張るし、無理やりシュート打ちいくし。

山崎先輩が怒ってたぞ。

アイツはチームプレイが分かってねぇ!って」



「…ハハ。やべー」



…さっきのゲーム練は、自分で言うのもなんだが…



うん。熱くなりすぎた。



でも、仕方ねーじゃん?




俺は今日の練習に賭けてたんだよ!色々とな!!!





「…まぁ、ちょっと安心したけど」




相変わらずニヤニヤしている亮。



「あぁ?何が」



「いや?

お前、昔っからバスケ一筋すぎんだよ。

悪いことじゃねーけど、他のことは何でもテキトーっていうか…」



亮とはミニバス時代から、ずっと一緒にバスケしてきた。



だから多分、誰より俺のことを、よく知ってる。






「そんなお前がやっと、バスケと同じくらい…いやそれ以上に?


好きなもん見つけられて、なんか安心した」






…亮…




おまえ……





「なんかいい奴だな!!」




「いてっ!あちー!くっつくな!」








…確かに、中学までの俺の生活は




バスケ一色で。




バスケさえあればいいと思ってた。




そしてこれからも、それでいいと思ってた。





…もちろん、今だってバスケは大好きで。



精一杯やってるつもりだけど。





(…こんな高校生活に、なるとは思わなかったな)





俺の頭の中は




いつだって長澤のことばかり。