翌日、朝練を終え教室に入ると




高木と何やら盛り上がっているアイツを見かけた。




…もう、あのラブレターは見てるんだよな…。




ドキン、と尋常じゃないくらい高鳴る心臓。



なっなんだよコレ、試合の時でもこんなに緊張したことねーぞ!?




もしかして死ぬんじゃないかという危機感を覚えながら、俺はとりあえず、いつも通り…




アイツに話しかけてみることにした。





「よぉ!ブー子!」




ズシンッと肩に肘をのせ、体重をかける。




「バカ五十嵐!
あたしは楓子であって、ブー子じゃないっ!」





はは、懲りずに言い返してくるんだよなぁ、毎回…




そんなとこも好きだ!




「そうだっけ?」



「そうだよっ!ってか毎朝毎朝ウザイ!」




ウザイ…
こいつ…このなんでもない言葉に、俺がどんだけ傷ついてんのか…知らねーだろ。




俺は意外と繊細なんだぞコノヤロー!





だいたいな、





「おまえが、俺の視界に入ってくるからだろ?」





俺の目はもうそーいう風にできてんの。






つーか…




この分だとまだ、ラブレターの差出人が俺ってことには




全く気付いてないみたいだ。




ま、いいさ。



俺だって人一倍鈍感なコイツが、そんなすぐに気付くとは思ってない。





「お、室谷~」





とりあえず一回撤収だ。