「よっ、ブー子!」


「…だーかーら、ブー子じゃなくて、楓子!!!」




振り向いて、もう何十回と聞いた分からない、そんなセリフを言うのは同じクラスの長澤楓子。




毎朝毎朝、コイツのちょっと呆れたような、怒ったような顔を見るのが俺の日課だ。




「つーかさぁ、」



そう言って、俺はわざとらしくまじまじと、長澤の顔を覗き込む。




「鼻、低くなった?」



「はあぁ!?」





長澤は、俺の言葉に分かりやすく眉を釣り上げると




「ハゲろ、バカ!!!」




クラス中に響き渡るような大声で、怒鳴った。