「え…えーっと…?」
こんな事態、はじめてで
何をどうしたらいいのか全くわからない。
「…おせーよ。ほんと、マジおせー!」
そんなあたしの背中に、ギュゥッと腕をまわして
“マジ”と“おせー”を連発する五十嵐。
「だ…だって!」
「だってじゃねーよ大体なぁ、とっくに気付いてんだよ、クラス全員。
なのに何で、お前だけいつまでたっても…」
「は、はぁ?」
「俺分かりやすいだろーが。相当わかりやすいだろーが。
なのにいつまでたってもお前だけ気付かねーから、仕方なく、手紙書いて、意識させようとしたのに…全く俺って気付かねーし」
「だ…だって!名前ないもん!気付くもなにも」
「めっちゃヒント与えただろうが!」
「は…?ヒント?」
「ノート見せただろ!?
あれで“あれ、もしかしてこの字は!☆”ってピンとこいよどこまで察し悪いんだよ」
「えぇ!?」
あ、あの英語のノート見せてくれたのって
それが目的だったの!?
「そんなので気付くわけないじゃん!?」
「気付くだろ!フツー!そもそも!」
五十嵐があたしの身体を少しだけはなして
「俺くらいしか、おまえを好きそうな男いないだろうが!!!」
でもすぐに、「あ、でも俺以外に2人も票を…!」と思い出して青ざめていた。



