「ブー子、って言われたら… ……ちょーっとだけ、嬉しいかもしれない」 五十嵐は、少しだけ目を見開いて 「…なんだそれ」 と笑った。 「あのさ」 五十嵐の手から、今度はあたしがボールを奪い取る。 そして、またさっきの、フリースローラインへ。 「…名前くらい書きなよ!」 あたしが放ったボールは ガコンッ …やっぱり、外れた。 「…へったくそ」 五十嵐がボソッと呟く。 「しかも鈍感」 「えっ…」 気付いたら すぐ隣にいた五十嵐に 思い切り、引き寄せられていた。