「え…?

答えって、なに…」




「…それは」




五十嵐の、痛いくらい真剣な目が、あたしをまっすぐに捉えてる。



グ、とあたしの腕を握る手に力がこもる。





「大矢~!」




五十嵐が口を開きかけた時




あたし達と同じ学年でバスケ部の、島津くんがやって来た。




「監督が呼んでる…ってあれ、もしかしてお取込み中だった?」




あたし達の状態を見て、気まずそうに足を止める島津くん。




「…亮、おまえタイミング最悪」




五十嵐は不機嫌そうにそう言うと、あたしの手からタオルを抜き取って





「おいブー子」



「…だから楓子」



「早く気付かねーとぶっ飛ばすからな!」




そんな物騒な言葉を残して、



島津くんと共に体育館へ戻って行った。





早く気付かねーと、って、何を…




っていうかぶっ飛ばしたいのはこっちだ。



いい加減、人の名前くらい正確に覚えて欲しい。






さっきまで、五十嵐につかまれていた腕に触れる。




…普段から、人の背中に圧し掛かってきたり


肩に肘をのせてきたり、ボディタッチが多い五十嵐。





でも、なんか今は…



違った。