…来てしまった。





こっそり、ドアの隙間から中をのぞく。





ま、まぁ…今日は“たまたま”暇だったし?



うん、チラッと見てすぐ帰るしね。



そんな誰に対してか分からない言い訳をしながら、キョロキョロと五十嵐を探す。




(…いた)



コーチの周りに集まって、みんな何やら指示を聞いている。





そして暫くして




ビーッ




ブザーの音が響く。



どうやら、これからゲームをするみたい。





バスケのことなんて、全く分からないあたしだけど…




…五十嵐がうまいのは分かった。





鋭いドリブルで切り込み、


あっという間にシュートを決めていく。





「キャーッ!!!


五十嵐くん、ナイッシュー!!!」





そしてその度に女子の歓声が飛ぶ…



中の舞台の上では、何人かの女子がバスケ部に熱い視線を送っていた。




歓声は、五十嵐だけじゃないけれど…



圧倒的に




(…ふーん、モテんじゃん。五十嵐のくせに)





多い気がする。