ベタベタの身体でバスに乗るのもな……と、とぼとぼと道を歩く。

これからどうすればいいんだろう。

あたしが何を願おうとも、あの二人は結婚をするのだろう。


エノキは、かわいい彼女の身を案じ、これまでの諸々を償う意味で(本当は何一つ悪くないし騙されてるだけなんだけど)責任をとって新しい家族を幸せにするのだろう。


柚希さんは、独自の方法で磨きあげた美しさをもって、エノキの奥さんになり、悠々自適に幸せに暮らすのだろう。

エノキが全てを知ることがいい事だとも思えない。

その真実は残酷で、希望の光が見出だせない。




……このまま、アパートまで歩けないこともないかも。


ぺたし、ぺたし。

変な足音。

そう言えば、ヤギ製菓にいた頃は、きちんとヒールのある靴を履いてたっけな。