私は、玄関から飛び出して走った。

家から学校まで歩いて30分はかかる。

ちょうど私が桜並木の中を走っているときだった。

ザァァア……

強い風がふいた。

ヒラヒラと舞うピンクの花びら。
私の目の前にできるピンクの絨毯。

一面ピンク色の世界だった。

そんな中で、一番大きな桜の木の下で胸の上辺りに本を開いて置きながら寝ている男の子がいた。

思わず近寄って顔を見てみる。
とってもキレイな顔立ちをしている。

男の子にしては少し長めの焦げ茶色の髪。
高くて筋の通った鼻。
目は…大きいのだろうか……?
薄く、濃いピンク色の唇。