すると、
前に見覚えのあるあの背中があった。


小さくて
でもなんか忘れられないようなあの…。





俺の脚は
動きだしていた。


透明な扉に小さなそれは
逃げていく。






「…!?」








最近の俺とは
どこか違うようなそんな声だった。




何を思っているのか
よく自分でもわからないが、
勝手に口が動く。




彼女が
言った。











「走りませんか?」







コーラの炭酸が
全部抜けたものを一気飲みした気分。





…覚えているのか?






恥ずかしいのか、

自信がないのか、

なんなのかわからないけど

何も言えなかった。






ただずっと
小さな背中を雨の中追いかけた。