「ごめん、ごめん…」 凛が口元を押さえて 謝る。 車イスに座っている俺は 凛に近寄った。 近寄ると背の高い凛の表情は 見えない。 何度も謝る彼の腕を 掴んだ。 力強く。 出せる限りの力を込めて。 そして 思いっきり笑ってやった。 今の俺じゃあ 伝えられないこの気持ちを。 声に出して伝えられない この言葉を。 『ありがとう』 精一杯のこの気持ちを。