俺はもう一度 傘をみた。 あの時音楽室で 傘の話をふられた。 俺は とっさに「ない」と答えた。 でも それはある。 間違えなくそこに 忘れることなく そこに存在している。 時計を見た。 良く良く考えると 面会時間は過ぎていた。 慌てて携帯を取る。 『病院の人に止められたわ(笑)』 とあった。 ――バ~カ―― 俺は 窓の外に笑った。