「でもね、
大人の中で一人だけいたの。」






「お母さんのこと、
褒めてくれるひとが…」









――――

「お母さん、今日も
 たくさん食べてたよ!?すごいね」



「ゆかちゃん
 お母さん、お注射我慢できたよ!?」





膝をついて私に笑って
言ってくれる看護婦さんがいた。

――――





「すごいね、すごいねって
褒めてくれて…

私が褒められてるみたいで
嬉しかったの。」







…それで
看護師になろうとしたのか。



俺は納得した。




彼女が今、
医者になろうとしている理由も
納得している。




多分、
俺のせい。




彼女なら
きっと何にでもなれる。


だからこそ、
今、ここで決めてしまうのはもったいない。


そう思えた。