ガラガラ―



古い扉をあけて
私は首だけ入れた。

キョロキョロと
部屋を見回した。


一人
男の子がいる。

顔を伏せて
寝ているようだ。




私は図書室の端にいるその人に
近寄った。




―ポンポン



試しに肩を叩く。







寝息をたてている。

猫背になっている大きい背中が
同じように動いていた。



―スースー―


寝息か今にも聞こえそうだった。







―ッ!!――







動いていた背中が止まった。







「ゔっ」






苦しそうな声をあげた。






私は
焦って起こそうとした。



「宗太くん?宗太くん?」





目を開けた宗太くん。

だけど
まだ呼吸がうまくいかないようだ。


私は背をさすった。




「大丈夫だよ、落ち着いて」





苦しさと焦りで
彼の額は濡れていた。





段々
呼吸ができるようになってきて、

顔をあげた。





近くにあったシャーペンを握り
『ごめん』と書いた。




私は首を振った。




俯く彼に
何も踏み込んではいけない気がした。




当たり障りのない言葉を
探した。