タイトル



浴衣の人がチラチラ見えてきた所で
神影くんが消えた。



そして
ユルカも消えた。



二人とも
走って屋台に飛んで行った。



残るは私と凛くんだけだけど 、
残念ながら凛くんもいない。



後ろの方で
女の子をナンパしている最中だからだ。





私も
なにか好きな物でも食べようと
かき氷を売る屋台に止まった。





「っ!?」


びっくりした。

急に神影くんがでてきたものだから。




『綿菓子、頼んでくれない?』


また携帯画面を見せつける。




…あぁ
声、出ないから頼めないのか。



私は
いいよと言って並んで綿菓子を売るの店へ
歩いた。








『次はりんごあめ』







『クレープ』






『バナナチョコ』







私は
走り回っていた。


いろんなものを買ってきて
やっと落ち着いたころ、
小さなベンチに腰をかけた。





「神影くん、
甘い物好きなんだね…。」




なにか話題って思ったけど
なにも出てこなかった。

彼は隣で
一生懸命食べていた。




「ねぇ、
一番好きな食べ物とかって何?」





1度食べるのをやめて
携帯に光を戻した。




『一番好きなのは

 生クリーム。』






ブハッ

思わず
吹き出してしまった。



「なにそれ、
カワイイ!!」



学校一の秀才で無表情の人間が、
生クリームが一番!?




なんか
私のツボにはまったらしい。




神影くんは全ての動きを止めて
私を不思議そうに眺めていた。





『俺より、
今の渡邊さんの方が可愛いよ。』














そう画面にうつっていた。