「おかしいなぁ。
この辺なハズなのに…」
「待ち合わせ、
どこって言われたの?」
彼女に頼るより、
自分が探した方が早い気がする。
にしても
人が多い。
お祭り効果は
絶大だ。
「…あの人たち
メッチャ背ぇ高くない!?」
「うわっ片方
カッコイイ~」
「もう片方、
マスク取ってくれないかな?」
「男二人なのかな
声、かけてみる?」
なんか
とても騒がれている人がいるらしい。
電車が来たと
走る人や駅委員の人。
とにかく
人が多くて前が見えない。
「ゆかちゃん、ユルカちゃん!!」
頭1つ抜き出た人が
二人、近づいて来た。
凛くんと…だれ?
マスクで
よく顔が見えない。
私は
下から覗き込んでいた。
その様子に気づいたのか
凛くんが言った。
「こいつ、風邪ひーてさぁ
声、出ねぇらしいんだよね。」
と頭を
ポンッと叩いていた。
その手を
マスクの少年は弾く。
そして
ゆっくりマスクを取った。
「なんだぁ~、
神たんだったのか(笑)
誰かと
思ったよ~。」
ユルカがバシバシと
神影くんを叩いている。
私は
ユルカの腕を掴んだ。
「…神影くん、帰る?」


