「「…名前?」」


教室中が
首を傾げた。


「名前がどうしたんだよ」

「名前くらいいいじゃないか」

「えっ?名前がなんだって?」




などと
口にしていた。





それもよくわかる。

だけど
今の状況は普通ではないのだ。




「…名前がバレる!!!」


俺は
教室を飛び出した。






あぁ、
どうしようか。


俺は彼女に
名前を教えていない。

それどころか、
この先教えるつもりもなかった。


いや、
もしかしたらこの先会うこともないような気がしてた。



中学生の頃、
同じ塾だったはずなのに
1度も会ったことはなかったのだから…。





…いやいや
いまはそんなことどうでもよくて…



名前だよ、名前!!



彼女は
俺のことを覚えていた。

多分名前も
覚えていることだろう。



覚えていなくても
卒アルを見ればすぐにわかる。



…あぁヤバイ。




絶対、
知られたくない。




「おい、宗太。」

いつものセリフ。


チャラ男が追いかけてきた。