「門限がないなんて、やっぱり本物の不良だ…」






自分の部屋にあるベッドにダイブしながら独り言を言った。



濡れた頭を気にするわけでもなく、枕が置いてある方に足をやって転がる。




結局あの後急いで帰ったので、お父さんに怒られるという事態は避けることができた。




それにしても、いじめに遭わないか心配だ。




あの人たちは、まあ、良い人みたいだったけど彼らに憧れている生徒は多い。


ファンクラブもあるって、噂で聞いたことがある。



アイドルか!?って、初めて聞いたときは思った。


地元じゃ有名だし、そりゃあ、あんだけ顔も良かったら好きになる女の子もたくさんいる。






「やだなぁ」






いじめにあった子を知らないわけじゃない。彼らに関係する噂は皆大好物だから、すぐにいろんな話が流れる。


私だっていじめについての、それなりの噂を耳にしたことはある。




「どうしよう…」




もし、そんなことがあったら。


チキンな私は不登校になりかねない。


そんなに精神が強いわけでもないのに。
私の心は自分で言うのもなんだが、繊細だ。



ぐるぐる渦巻くそれが、いつ現実になるのかとヒヤヒヤしながら眠りについた。