「千代聞いた!?」

「へ?何が」





いつもと同じように学校へ着いたときのこと。


下駄箱で靴を履き替えていると、親友の桃ちゃんが息を切らしながら走ってきた。


そんなに急いでどうしたんだろうか。
嬉しいことでもあったのかな。


そんなことを考える七宮 千代、中2。


人生で一度は起こるという、あの恥ずかしい病気のことではなく。



中学2年生だ。



そして先程私が桃ちゃんと言った目の前の可愛い女の子は、日比野 桃香ちゃん。




私たち2人、仲良く平和に当たり障りなく過ごしています。





「あんた聞いてないの!?今日噂になってるんだけど!」

「だ、だからなにが?」





肩をがしりと掴まれて、若干引いてしまった。


いつもはセットして、気もつかっている髪の毛が乱れている桃ちゃん。


そんなに大事なことがあったのかな。





「城ヶ崎 龍が今日登校するんだって!」