BRAT ANGEL

そしてまたあの平凡な毎日を過ごしていた。

もうあの記憶も完全に忘れた2ヶ月後の朝、いつものように葉月と一緒に登校していた。
そして教室に入るなり沢井からいきなりあることを告げられる。

「青葉と海藤受かってたよ!」と。

でも俺たちにはなんのことか理解出来ずポカーンとしていると沢井があきれた顔をして、
「もうだいぶ前だったから忘れちゃったかぁ。」
と言って俺たちに
「2ヶ月前くらいにオーディションに応募するって言ったじゃん。そのオーディションにあんたたちが一次審査に受かったの。」
と説明してくれた。

その言葉で葉月は思い出したようだが、俺にはいまいち理解できていなかったが、葉月が
「顔だけはいいって言われたときのことだよ」
と教えてくれたから、ようやく理解できた。

「マジでー!?!?」
と俺らが驚くと沢井が
「あたしもビックリよ。昨日、なにげなくポストが気になって見たら手紙が入ってて…
メールしようかなって思ったんだけど直接言おうって思ってやめてたの。」
と言ったから俺は
「その判断は正解だったな」
と言うと沢井は苦笑いをして、届いたという手紙を見せてくれた。

その手紙には
『青葉亮介さん、海藤葉月さんは36000人の応募者中から見事一次審査に合格した100人に入りました。』
と書かれてあった。

俺たちはその数に驚いた。36000人…
36000人ってすごい数だよな…。
その中に俺らみたいにノリで応募したやつもいるかもしれないが、ほとんどのやつがガチで応募しているのであろう。

その中から俺らは一次審査に合格したんだ…

俺たちは数にビックリして声が出なかったが、沢井がそんな俺たちに
「36000人よ…
ほんとビックリよ。でもまだ一次審査よ。目指すはほんとの合格なんだから。
ビックリしていられないんだからね!」
と言って活を入れてくれた。

「そうか、合格したっていってもまだ一次審査か。
しかも100人の中の2人なんだよな…」
と葉月がボソッと言う。

「そうだよな。数に驚いている場合じゃないよな。」と俺も言った。