ぼ~…
「夢月ー?夢月ってば!」
ぼ~…。
「夢月あああああ!!」
『は、はいいぃぃ』
「何ぼ~っとしてんのさ」
そう声を掛けてくれたのは私の大好きなお友達の西浜紗凪ちゃん。
幼稚園の時から一緒で頼りがいのあるお姉ちゃんみたいな存在なんだ。
『あ、ちょっと考え事してた』
「考え事ー?なになにっ。珍しいね」
珍しいのかな?
まぁ、確かにあんまり私が考え事してるところ紗凪ちゃんは見たことないかも。
でも小さい時からの付き合いだから紗凪ちゃんに隠し事なんて出来るはずもなく
「何考えてたか吐け!こんにゃろ」
『ちょっ、あははははは』
案の定コチョコチョの刑を受けたのであった。
『い、言うからお腹痛いから』
「やっという気になったか!」
と紗凪ちゃんは言うと脇腹にあった手を私の頭の上に持っていき頭を撫で始めた。
紗凪ちゃんはいつもやり過ぎちゃったなって思ったら最後には必ず私の頭を撫でてくれる。過保護なんですよね。
『実はね、如月愁くんのこと』
「好きになっちゃったとか!?」
『ちょ!シー!!声がでかい』
「あ、ごめん。で、好きなの?」
"好きなの?"
分からない。好きって気持ちが分からない
愁くんとまともに話したのは今日が初めてだから彼のことを何も知らない分からない。
「夢月?」
『…』
「ごめん。夢月」
『へ?何で紗凪ちゃんが謝るの?』
「ほら、夢月にはさ…」
『うん?』
「忘れられない人がいるんじゃないかなって」