ただいま。

私が亮ちゃんを見たときにはもう、亮ちゃんは駆け出していた。

その表情は木の幹に隠れて見えなかったけど、少しだけ嫌そうに眉をひそめていたような気がして悲しくなった。


まぁ、本当に彼女ではない。


だけど、亮ちゃんのことは好き。
…どんな風に?

私はどんな風に亮ちゃんが好きなのかな…


亮ちゃんが友達の所に行ってしまったので、私は幹の下に投げ出した鞄を持って、少し早めに教室に向かうことにした。

廊下で先輩にぶつからないように気を付けながら、玄関で先生に告げられた教室に向かう。

今日から私も中学生。
亮ちゃんと同じ学校。

一人で歩く初めての校舎は少し不安だったけど、そう考えると安心出来た。



ガラガラ


教室の扉を思い切って開けると1番乗り!…かと思いきや、もう何人かの子達かが来ていた。