ただいま。

〜7年後〜

ハラハラと舞う桜の花びら。


私はその花びらを散らす木の幹に駆け寄った。



「亮ちゃん、桜綺麗!どーう、私も中学生だよ?」



私、こと桃井くるみは中学生になっていた。


亮ちゃんは私より一学年上で一足先に中学に上がっていた。


私はそれをただ一年間、もどかしいような、それでいて時々どうでもよくなっちゃうようなそんな気持ちで見ていた。


だって、亮ちゃんは変わらず私に接してくれたから。

忙しいって言いながら、ランドセルを持った私が家に押しかけると宿題を教えてくれた。

だから、ちょっと羨ましかっただけ。

「わかったから。写真撮ってやるからカメラ貸せよ。」