ただいま。

台所からおばさんが食器を洗う音がすることだけが唯一、私と亮介の間に音を与えていた。



「ふっ…ひっぐ……」


お父さんみたいに。
お母さんも気がついたらいなくなってたらどうしよう。


小さい私は不安で胸がいっぱいになった。


カラン


ピンクのクレヨンがゴロゴロと私の所に転がって来た。


「一緒に遊ぼっ!」


亮ちゃんはそう言って、乱暴に、不器用に私の手にクレヨンを握らせた。