ただいま。

亮ちゃんは亮ちゃんだもん。


「ねーねー、校長先生ってカツラ?」

自転車のペダルがカラカラいう音と、時折ギーギーと軋む音以外がしないのは、やはりここが田舎だからだろうか。


「んー、ああ、そうそう。今年の一年もう気づいたんだ。」

亮ちゃんはクスクス笑う。



「じゃあ観月涼子先生ってどんな先生?ちょっと亮ちゃんに名前似てるよね。」

…。
ありゃ?怒らせちゃったかな。
亮ちゃんの返事までにはちょっと間があった。


「似てねーよ。数学の先生で…んまぁ、いい先生なんじゃね?」

「数学ってなーに?」


「算数のこと。ちょー難しいぞ。」

亮ちゃんはこっちを向いて眉をひそめる。

「えー、やだな。私、勉強苦手。」

「知ってる。」