「かーえーでーーねーちゃ!!」

私の名を呼ぶ可愛らしい声と共に腹部に何かが降ってきた。

楓「雪璃…痛い。降りて…」

11離れた5歳の可愛い可愛い弟だ。

雪「りょーが来てるよーー!!」

雪璃から出てきたりょーという名の人物を聞いて私は、背中に嫌な汗が流れた。

楓「雪…今何時?」

雪「わかんなーい」

時計の方を恐る恐る見ると8時前を指していた。

楓「やばっ!!」

私は勢いよくベッドから出て制服に着替えた。

8時が稜との集合時間で、今が56分となると残り4分!?

間に合うか間に合わないかわからない時間帯!!!

とりあえず急ぐしかない!!

楓「いってきまーす!!」

雪「いってらしゃーい」

雪璃が玄関のとこまで出てきて手を振ってくれた。

私も雪璃に手を振り返して急いでいつものベンチに向かった。

それは私と稜が集合場所によく使う木製のベンチだ。

楓「稜!ごめん。寝坊した。」

稜という黒髪に黒縁メガネをかけた男に声をかけた。

稜「そうだろうと思ってたよ。」

稜はベンチから立ちながら私に言ってきた。

楓「なにそれー。って、稜また身長伸びた?」

稜「そうか?まぁ180は余裕で越えてるだろうな。」

と、言うと稜はバス停に歩き出した。

私も大きな背中を追いかけ歩き出した。

楓「ねぇ稜何で私みたいな落ちこぼれ高校の人間と歩いてて平気なの?」

稜「はぁ?そんなの…危ない!!!」

楓「え?」

車のブレーキの音が甲高く響き渡る。

それと同時に私を覆ってくれた大きな影。

瞬間あたりの景色が真っ白に変わり前も後ろも右も左もわからない状態になった。