晴れた日に…

彼はポケットから携帯を取り出し、
救急車を呼んだ。
私とは比べものにならない、綺麗なドイツ語。

このオッさんの名前と歳は?


Friedel・Ebert 歳はわかんない…。

彼は静かにうなづき、
Durchgang(通り)の名前や状況を説明する。

私も次第に気持ちが落ち着いてくる。

そうすると、だんだん、彼が気になってきた。

細身だが筋肉質な身体。
背も180弱くらいだろうか。
スーツも、イタリアの高級ブランド
Ir mare 着こなしてる。
ベストの裾から覗くベルトのバックルも上品で、ついつい夫の成金趣味なベルトと比べてしまう。

何より、この人、
よく見ると何処かで会ったことがある気がする。
日本の有名人だろうか。記憶を辿るが、
気が動転してるせいか、思い出せない。
ほんとうにキレイな顔立ち。

切れ長な二重瞼。細く通った鼻筋。
薄い唇、全てに、均整がとれている。

電話が終わり、
彼は、しゃがみ込みエーベルトの様子をみている。

私は彼に見惚れていた。

オッさん、息はしてるな。すげえ血出てるけど、頭だからな。

彼はそう言って私をみた。
私はうなづくので精一杯だった。