悠弥とはサロンが終わった後別れた。
サロンが思ったより長引き、悠弥は急いで帰って行った。


私は、いつものように夫の帰りを待つ平凡な主婦に戻る。
今日はスペインから、帰る日だ。


携帯には悠弥からのメールが来ていた。
中身は見ていない。

ただ、タイトルに、無事家に着きました、とだけ書いてあり、
私はそれだけで十分だった。


悠弥は私とは住む世界の違う人だ。
サロンのメンバーの連れだって、みんなドイツでは有名な人ばかりなのに。

その中においても、悠弥は目立っていた。


堂々とドイツ語で会話し、
私の知らない悠弥を知っている夫人。



私はイルマーレの家族の意味も
悠弥がサッカー選手の息子ということも
敢えてその後何も聞かなかった。


気になる。

でも、いずれにしても、
悠弥は私と交わらない人だ。
あの、夢のような夜も、
もう二度と来ない。

私は、平凡な主婦に戻る。


悠弥は麻薬のようだ。

深入りしてはいけないと、
わたしの本能が言ってる。