晴れた日に…

彼は私に顔を近付けた。
思わず私は顔をそらす。

ダメだよ…

何故かわからないけど、彼は私を欲していた。
キスを拒否すると、腕の力がさらに強くなる。

俺が嫌い?俺といると、嫌なこと思い出す?

そんな事を問う。

嫌いなわけがない、嫌なことなど思い出す暇がないと、言いたかった。

悠弥くん、その前に私には夫がいるの。一度ちゃんと会って、お礼は言いたかったけど…。

わかってるよ。でもどうしても、貴方が頭から離れないんだよ。だから、必死で探して、名前も、調べてやっと俺の腕の中にいる。

ノイアーってドイツ人に調べさせたの?

はは。ほんとサッカーのこと知らないんだね。ノイアーはチームメイトだよ。
俺が日本人女性探してるってバレたらめんどくさいからノイアーが探してることにしたんだ。

じゃあ?どうして、私の名前まではわかったの?


ずっと。いたよ。あのパーティーに。
エーベルトが厭らしい目で貴方を見てるのも知ってる。だから、貴方が会場を抜けたのも見てたし、エーベルトが追って行ったのも見てた。それで急いで追いかけたんだ。…間に合わなくてごめん。


そう…。


言葉にするのは苦手なんだ。でも、今日は言うよ。
貴方が好きだ。あのパーティーで一目見たときから、綺麗な人だなって、だけどどこか儚げで、ちゃんと摑んでおかないと消えてしまいそうだなと、気になって仕方がないんだ…。


彼の体温が上がって行くのを感じた。
私を好き…。

本気なの?

思わず私はそう言った。

本気だよ。貴方を抱きたい。自分の物にしたい。

ストレートな彼の言葉。
私はもう、理性を失ってしまった。