晴れた日に…

遠くから救急車の音が聞こえた。

人が集まってきた。
彼は、とっさに腕を解いた。

紗江!

夫の声がする。
夫は駆け寄ってきた。
そして、倒れているエーベルトに目をやる。

どうした?
エーベルト?!

ごめんなさい、私…。突き飛ばした。

えっ?

夫はその言葉だけで察したようだ。
私は気づかなかったが、ドレスの肩紐が片方ずり落ちていた。
夫はそれを直した。

じいさん、お前を見る目が普通じゃなかったからな…。心配するな。正当防衛だ。

それより、この方が、救急車呼んでくださったの…

私が振り向くと、彼はもう遠くに後ろ姿が見えるのみだった。

あの人?ドイツ人?

え?多分日本人だと思うほど…。


あの黒い瞳、まっすぐな黒髪はきっと、日本人だろう。


いやだわ、私お礼も言ってない…。