思考停止。

えーと。

これ、浮気?か……?


「浮気ィィ!?」


私の叫び声に、愁也が焦ったようにこっちを見る。

「馬鹿、違う!!
イタリア支社の開発部長の娘さん!」

うん、その口紅だらけの顔じゃ説得力皆無だよねー!!

一気に頭に血が上った私は、愁也の頬にぶちゅーとキスをくれてる金髪美人を引き剥がす。
思いっきり睨みつけて、ビシッと言ってやった。

「めっ!!私のっ!」


……イマイチ婚約者らしくなかったかしらね。


けど怒る様は万国共通なのか、私の顔を見てマリアはビックリしたように愁也から離れた。
よーし。

マリアが私を見て、口を開いた。


「シューヤ、コノ子供誰ね?私アナタとケッコンしにきたよ」

片言だけど、すらすら出てくる言葉。
日本語しゃべれんのかよ。
んで指を指すな、指を。

てか今、聞き捨てならない言葉が聞こえたんですけどぉ!?


「誰が子供か!!私はちゃんと成人してるわ!」

「梓が引っかかるとこ、ソコなんだー……」


顔を引きつらせた愁也に、ハッと気付く。

ち、違う!


「ケッコンてどういうことよ!?」

やっぱり、浮気か!

私の視線に愁也が違う、と眉をしかめた。


「マリア、それは断ったでしょう。私には婚約者が居るんです。こちら、婚約者の高宮梓さん」

愁也の紹介に、私は照れてえへへ、とか笑ってしまい、

「コレ子供ね。シューヤはロリコンか?」

とマリアに称された。

だから子供言うなあっ!!


「だいたいあんたは何歳なのよ?」

私は彼女を上から下まで眺めて聞いてみる。

美人。うん、美人。スタイル抜群。言うことなし。
見たとこ私より一つ二つ上か、それとも愁也と同じくらいか?


私の質問に、マリアはニッコリ答えた。


「17歳ネ」

「子供はてめぇだああぁっ!!」