まるで御伽噺の王子様みたいな愁也に。



「いっ……嫌だあぁあ!!」


真っ赤な顔した私の
ムード台無しな叫び声が響き渡った。



「どうせからかってるんだもん!ドッキリだもん!ほら、カメラ出てこいやぁあ!!」

「梓、それ照れ隠しかよ?それとも何かトラウマでもあるわけ?」

クッションをバシバシ投げて暴れ回る私に、さすがに呆れた顔で愁也が言う。


ううう、だって。


「おかしいもん、こんなに簡単に幸せになるわけないもん。絶対落とし穴が」

「へぇ。
俺に告白されて幸せなんだ」

「!!」


そこ拾いますか。
なんて凄い人。
誰も取れないぬいぐるみをサルベージする、伝説のキャッチャー職人か。


「遠まわしでも王道でも駄目なら、力づくだな」


不覚にも言葉に詰まった私の腕を引いて、愁也がぎゅ~っと抱き締めた。

……否、捕獲した。



「言葉で信用できないなら、身体に教えてやるしかねぇな。

……俺を色仕掛けで繋ぎ留めて、何度でも落としてみせろ」


もの凄く、妖しい微笑みで。
色気たっぷりに迫られて。


「そっちがその気なら、私だって」


私は愁也の好きだという、
甘い甘いキスをする。




あ、愁也病、再起不能。